取組情報

子どもを望む夫婦の気持ちに寄り添う支援~不妊治療費助成事業・不育症検査費助成事業~

取組課題

切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策 ▼

不妊に悩む方への支援 ▼

不妊に悩む方への特定治療支援事業の助成件数

取組の対象

その他

取組の背景

 常陸大宮市は、茨城県の北西部に位置し、久慈川と那珂川の清流が流れる緑豊かな自然に恵まれた人口約3万7千人の街です。出生数は平成30年度210人、令和4年度144人と急激な減少をみる一方、高齢化率は39.8%と、少子高齢化が深刻な問題となっています。また、若年層の都市部への流出による人口減少も課題となっており、本市では「少子化・人口減少」を最重要課題と捉え、政策プロジェクト「人口流出を防ぐためのダム(政策)の構築と実践」の重点事業のひとつとして、令和4年3月に改訂された常陸大宮市総合計画に不妊治療費助成事業・不育症検査費助成事業を位置づけました。
 不妊治療費助成事業は、不妊治療を行う夫婦の経済的負担の軽減を図ることを目的として、平成24年度に当初5万円の助成額で開始し、その後段階的に助成額を増額し、令和3年度から全額助成へと拡充しました。令和4年4月から不妊治療が保険適用となり、治療を受けやすい環境になったものの、体外授精及び顕微受精(男性不妊を含む)については、自己負担額が1回の治療で10万円以上となる場合もあり、さらに、保険適用に併用して行う一部の先進医療は自費診療となるため、不妊治療を行う夫婦の経済的負担は依然として大きいのが現状です。また、保険適用となる回数は1子につき6回まで(40~43歳未満は3回まで)となり、その回数を超えた治療は全額自己負担となるため、経済的理由から不妊治療の継続について悩まれるご夫婦もいます。そういった現状を踏まえ、当市では、保険適用となった令和4年度以降も、治療開始時における妻の年齢が43歳未満の方であれば、体外授精及び顕微受精(男性不妊を含む)の治療にかかる全ての費用を助成し、子どもを望み不妊治療を行う夫婦への、不妊治療費全額助成を継続して実施することとしました。
 不育症検査費助成事業は、母子(親子)健康手帳交付時の問診等により、流産・死産を2回以上繰り返す不育症の方の実態を把握し、少子化対策の新たな課題解決のため、令和4年度から保険適用外不育症検査を行う夫婦に対して、上限15万円の検査費用の助成を開始しました。

提案者

自治体の長 職員・社員

取組のねらい・目標

・体外受精及び顕微授精(男性不妊を含む)、不育症検査を行う夫婦に対して、経済的な負担の軽減を図る
・妊娠前から経済的・精神的サポートを通した切れ目ない支援を行う
・市外、県外からの若い夫婦の、移住を促し、人口増加につなげる

住民が健康のために、より積極的な行動を継続できるように支援する

数値目標なし

取組内容

<不妊治療費助成事業>
対象者 ①~④全てに該当することが要件
①婚姻していること(事実婚を含む)
    ②治療を受けている期間及び申請日に夫婦双方が市内に住所を有し、居住実態があること
    ③不妊治療を開始する日における妻の年齢が43歳未満である夫婦
    ④市税等の滞納がないこと  
対象の治療 体外受精及び顕微授精(男性不妊を含む)
助成額  不妊治療にかかる全ての費用を全額助成
所得制限 なし
回数制限 なし

(居住確認)
 令和4年度から助成対象者の要件の中に「夫婦双方が市内に住所を有し、居住実態があること」を新たに追加し、申請から支払をするまでの間に必ず居住確認を行い、生活の実態について確認しています。事前にアポイントをとらずに訪問するため、何度か足を運ぶこともありますが、申請された方に直接お会いすることで顔の見える関係が生まれ、申請後においてもスムーズな対応につながっています。また、居住確認する中で、市内に自宅を新築された方も多く、定住施策としての効果も高いと捉えています。
(申請時の対応)
 申請時は、個室で対応し、申請書類の確認だけにとどまらず、治療への不安、焦り、落胆、喜び、葛藤など当事者の複雑な気持ちに寄り添い、様々な声に傾聴し、丁寧な対応に努めています。その中に、経済的理由から一度治療を諦めかけた方が、全額助成を利用し妊娠に至った方もおり、「諦めないでよかった」と妊娠の報告と共に感謝のお電話を頂いたこともありました。ほかにも、これまで高額なお金をつかい一人目を出産し、二人目はどうしようかと悩んでいた方も、「全額助成となってから経済的な心配がなくなり 精神的にもすごく楽になった」と、治療を開始し無事に2人目のお子さんを出産された方もいました。
 子どもを望む・望まない、様々な選択肢がある中で、子どもを切に望む夫婦に対して、行政ができる手厚い経済的サポートで支援していくとの思いで、当事業を進めているところです。

<不育症検査費助成事業>
対象者①~④全てに該当することが要件
    ①流産・死産等について2回以上の既往歴があること
    ②婚姻していること(事実婚を含む)
    ③検査を受けている期間及び申請日に夫婦双方が市内に住所を有し、居住実態があること
    ④市税等の滞納がないこと
対象の検査 保険適用外の不育症検査
助成額  1回の治療につき、上限15万円
所得制限 なし
回数制限 なし 

(事業の周知)
 事業の周知については、市のホームページや広報紙だけでなく、新聞やテレビなどのマスメディアを通し、広く市内・外に対して周知に努めているところですが、当市の助成制度についてまだ知らない多くの方々に広く知っていただけるよう、今後も広報活動について積極的に取り組んでいきます。

「健康寿命をのばそう!アワード(母子保健分野)」への同取組について応募歴なし

実施時期

2012/6/1 ~ 未定

通算期間

上記期間内での実施状況

参加人数や実施回数などは把握できない

取組内容(補足選択)

既存事業の工夫 相談機能の強化

協力機関

病院 専門団体・職能団体

住民参画状況

なし

従事者内訳

保健師 事務職員

補助金・助成金

市町村

取組の評価

 少子化対策の一環として、令和3年度から不妊治療費を全額助成へ拡充した結果、助成件数は前年度比1.8倍の54件、妊娠件数は1.6倍の16件へ増加し、令和4年度については、助成件数は59件、妊娠件数は17件と大きな成果が得られました。また、全額助成となった令和3年度以降、不妊治療費助成事業を目的に転入された方は11組、そのうち8組が妊娠し、5組が出産されています。当事業については、これまでに新聞やテレビのメディア等で周知をしたことにより、市内・外から不妊治療を希望される多くのご夫婦や全国の自治体の担当者様よりたくさんのお問い合わせをいただきました。
 また、令和4年度から開始した不育症検査費助成については、1件の助成をしています。
 今後も、不妊治療費助成事業・不育症検査費助成事業をはじまりとし、”妊娠前からの切れ目ない支援”を継続し、より多くのご夫婦が自然豊かな常陸大宮市で、安心して出産・子育てができるよう事業に取り組んでいきます。

今後も継続する

今後の課題

・事業の周知
 市外の方に向けても広く周知するために、新聞社等に掲載を依頼しているが、更に情報提供先を広げ周知に努める
・相談体制
 茨城県の「不妊専門相談センター」の情報提供とともに、申請時には治療状況や本人の気持ち等を丁寧に聞き取り傾聴し、
 当事者の気持ちに寄り添う対応に努める
・プレコンセプションケア
 高校生を対象とした赤ちゃんふれあい体験を実施し、赤ちゃんを身近に感じてもらい、将来子どもを持つ選択を考えられるよう
 に支援していくことが必要
・不育症検査費助成の見直し
 不育症検査及び治療について知識を深め、助成内容の見直しを検討

取組についてのWEBサイトURL

https://www.city.hitachiomiya.lg.jp/happy_kosodate/shienseido/

最終更新日:2023-08-23 16:48:25