取組情報

連続的な家庭訪問体制(マタニティ訪問・7~8か月児訪問・3歳児バースデー訪問)の創設と健診・教室を組み合わせた、妊娠期から3歳6か月児健診までの切れ目ない支援体制の構築 ~母子保健推進員の育成と連携~

取組課題

切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策 ▼

【妊娠期~乳幼児期】切れ目ない支援 ▼

・児の健康づくりについて

出産後1か月時の母乳育児の割合

1歳までにBCG接種を終了している者の割合

1歳6か月までに四種混合・麻しん・風しんの予防接種を終了している者の割合

むし歯のない3歳児の割合

仕上げ磨きをする親の割合

朝食を欠食する子どもの割合

対象家庭全てに対し、乳児家庭全戸訪問事業を実施している市区町村の割合

・乳幼児健康診査事業の受診促進

乳幼児健康診査の受診率(重点課題②再掲)

乳幼児健康診査の未受診者の全数の状況を把握する体制がある市区町村の割合
/市町村の乳幼児健康診査の未受診者把握への取組に対する支援をしている県型保健所の割合

関係機関との妊娠期からの連携強化 ▼

子ども医療電話相談(8000)を知っている親の割合

子どものかかりつけ医(医師・歯科医師など)を持つ親の割合

ハイリスク児への支援 ▼

ハイリスク児に対し保健師等が退院後早期に訪問する体制がある市区町村の割合
/市町村のハイリスク児の早期訪問体制構築等に対する支援をしている県型保健所の割合

子どもの健やかな成長を見守り育む地域づくり ▼

妊産婦に優しい環境づくり ▼

この地域で子育てをしたいと思う親の割合

積極的に育児をしている父親の割合

地域の子育て支援 ▼

乳幼児健康診査の未受診者の全数の状況を把握する体制がある市区町村の割合
/市町村の乳幼児健康診査の未受診者把握への取組に対する支援をしている県型保健所の割合

母子保健関係者専門性向上のための取り組み ▼

母子保健分野に携わる関係者の専門性の向上に取り組んでいる地方公共団体の割合

妊娠期からの児童虐待防止対策 ▼

妊娠期からの児童虐待防止対策 ▼

乳幼児健康診査の受診率

妊娠届出時にアンケートを実施する等して、妊婦の身体的・精神的・社会的状況について把握している市区町村の割合

対象家庭全てに対し、乳児家庭全戸訪問事業を実施している市区町村の割合

市町村における児童虐待相談の対応件数

特定妊婦等支援の必要な親に対するグループ活動支援の推進 ▼

養育支援が必要と認めた全ての家庭に対し、養育支援訪問事業を実施している市区町村の割合

健康日本21(第2次)に含まれる母子保健に関するテーマ ▼

社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上 ▼

朝・昼・夕の三食を必ず食べることに気を付けて食事をしている子どもの割合の増加

運動やスポーツを習慣的にしている子どもの割合の増加

健康を支え、護るための社会環境の整備 ▼

地域のつながりの強化(居住地域でお互いに助け合っていると思う国民の割合の増加)

栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善 ▼

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者の割合の増加

食塩摂取量の減少

野菜と果物の摂取量の増加

妊娠中の飲酒をなくす

未成年者の喫煙をなくす

妊娠中の喫煙をなくす

受動喫煙(家庭・職場・飲食店・行政機関・医療機関)の機会を有する者の割合の減少

3歳児でう蝕がない者の割合が80%以上である都道府県の増加

12歳児の一人平均う歯数が1.0歯未満である都道府県の増加

取組の対象

新生児 乳児 幼児 妊産婦 父親 母親 家族

取組の背景

 多治見市は人口約11万人の岐阜県東濃地方の中核都市で、古くから陶磁器やタイルなど美濃焼の産地として発展してきた。名古屋駅から電車で約35分とアクセスも便利で名古屋市近郊のベッドタウンでもある。
 多治見市は以前から、母子保健事業の推進に力をいれており、従来から実施していた4か月児健診・1歳6ヶ月児健診・3歳児健診に加え、平成11年から10か月児健診、平成26年から2歳3か月児健診を導入(この前身として平成15年から2歳児相談実施)、各健診事後フォロー教室の実施、他課の子育て支援教室や児童館児童センターとの連携により、きめ細かな支援を実施してきた。しかし、子育てをしている母(保護者)の不安や悩みは年々個別性が高くなり、子育てをする家庭環境もより複雑化し孤立する母(保護者)も増えてきた。
そのため、健やか親子21で掲げる「切れ目ない妊産婦・乳幼児の保健対策」を実現するためには、要支援者のみならず、子育てをしている保護者全員の個別性に対応し、保護者の隣で伴走していくことができる仕組みを作る必要があると考えた。
多治見市には昭和61年から保健センターと共に地域で母子保健を推進するために、市長から委嘱された母子保健推進員という組織があり、平成30年頃までは、主に赤ちゃん訪問をする活動をしていたが、近年はより専門性が必要とされ、赤ちゃん訪問は保健師・助産師が全員に対して訪問する施策へ移行しており、母子保健推進員の役割を見直す時期にきていた。保健センターと連携して子育て支援を行うのに母子保健推進員がとても適しており、そのマンパワーを切れ目ない支援体制を構築するために活用できないかと考えた。

提案者

母子保健担当者

取組のねらい・目標

本事業の狙いは、地域の子育ての先輩が、保健師よりもさらに身近な存在として、子育てに伴走し、見守ることができる、子育て支援体制の構築である。また、一般的な子育て方法を伝承し、子どもの育ちをともに喜び、子育ての大変さを共有し、氾濫する情報を個々に必要なものを選び伝えることである。これは集団での指導ではできない家庭訪問を軸とした個別での対応が最も有効であると考えた。
 そのためには、母子保健推進員を活用した、システマチックな家庭訪問体制の構築と、期待される活動に対応できる母子保健推進員の質の向上と人材の確保、また母子保健推進員と連携・サポートし、保護者と母子保健推進員をつなぐことができる保健師の活動体制を作ることを目標とした。

住民が健康に関する知識、技術を身につけ、動機を高める 住民が健康のために行動できる機会や環境を提供する 住民が健康のために、より積極的な行動を継続できるように支援する

数値目標なし

取組内容

切れ目ない妊産婦・乳幼児の支援を実施するために、まず取り組んだのが、4か月児健診と10か月児健診の間である生後7~8か月児への家庭訪問の実施である。初年度(令和2年)は第1子全員の訪問を実施、令和4年からは全子対象へ拡大した。
令和3年からは、3歳児に対する家庭訪問を開始した。多治見市は令和2年から3歳児健診の時期を3歳0か月から3歳6か月に変更した。そのため、2歳3か月健診から次の健診までは1年以上も空くことになるため、その間の支援を家庭訪問と位置付けた。事業名を「3歳バースデー訪問」とし、絵本の読み聞かせと、口腔の発達を促すおもちゃ(シャボン玉、吹き戻し、紙風船)のプレゼントを持参している。対象者は第1子と希望者としている。
令和5年からは、出産子育て応援ギフトと抱き合わせた伴走型支援で、妊娠8~9か月頃に全妊婦を対象として家庭訪問を開始した。妊娠の状況と産後のサポートやサービス調整を一緒に考えることを主としている。
これらの訪問は要支援ケースについては保健師・助産師が訪問を担当し、それ以外を母子保健推進員が担当している。
それぞれの訪問は詳細なマニュアルを作成している。誰が実施しても、質に大きく偏りがでないようにしてあるのと同時に、一番大切なのは子どものよいところ・かわいいところ、成長しているところを、一緒に探し、それを言葉に出し伝え、ともに喜ぶことであると徹底している。また、母子保健推進員の訪問後に専門職の支援が必要だと報告を受けたケースについては、保健師・助産師等が再度訪問する等できめこまかな支援を継続している。
母子保健推進員の募集と研修にも力をいれている。母子保健推進員は子育て世代中心に「子育て経験を活かし、保護者に寄り添うことができる人」「月に訪問1件からでもできる子育て支援」とうたい募集した。令和元年から2年ごとに養成講座を実施し、毎回20名以上の応募があり、令和5年度現在は59名で、年代も30~50代が主となっている。研修の内容も、それぞれの訪問に対応できるよう、月齢ごとの発育発達から、食生活・生活習慣を学び、産後うつ等のメンタルや傾聴についての研修、発達障害や療育までの流れ、虐待についての研修も実施した。研修会はZOOMでの参加も可能とし、欠席する場合はアーカイブで視聴できるようにした。また、訪問後には母子保健推進員が保健師に訪問報告をし、対応についての検討や相談ができる体制としている。
保健師の業務分担については、母子保健推進員活動全体の主担当以外に、各訪問の担当や新人教育の担当等、役割を細分化し、多くの保健師が母子保健推進員に関わることができる体制とした。

※過去の応募回数・・・なし
※国・県の補助金・・・母子保健衛生費国庫補助金、出産・子育て応援交付金

実施時期

2020/4/1 ~ 未定

通算期間

上記期間内での実施状況

訪問件数については評価欄に記載

取組内容(補足選択)

既存事業の工夫 相談機能の強化 ネットワークの推進 ケアシステムの構築 マニュアル・ガイドラインの作成 人材育成の強化(研修等)

協力機関

保健センター・保健所 その他

住民参画状況

計画から参加 実施主体側として

従事者内訳

保健師 管理栄養士・栄養士 助産師 歯科衛生士 保育士 その他

補助金・助成金

国 都道府県

取組の評価

 本事業を開始し、これらの新規訪問事業や母子保健推進員の存在も、地域に浸透しつつある。保護者からも訪問で不安が解消したり、地域の情報を知ることができたと満足度も高く、また、メンタルの不調や子育て困難で助けを求めている声を知ることができた。 母子保健推進員はこれらの単発の訪問に終わらず、保健師と一緒に要支援ケースや、継続的な訪問を希望する多くの保護者のところへ訪問し、連続した支援を実施している。
 母子保健推進員の役割を見直し、専門性を高め、活動を拡大させたことにより、妊娠中から3歳6か月児健診までの母子保健の切れ目ない支援の仕組みはある程度完成されたと評価してもいいと考える。
 保健センターだけの限られたマンパワーでは、新しい母子保健事業を展開していくことは難しく、地域のマンパワーを大いに活用し、育成・連携していくことで、時代が求めるより高度な母子保健活動ができると考える。

【実績/訪問件数】
参考 多治見市の人口約11万人、出生数 年間約600人

年度/総訪問件数/(母子保健推進員のみ)/人
7~8か月児訪問 令和2年 216(56)人 令和3年 290(201)人 令和4年 491(364)人
3歳児バースデー訪問 令和3年 281(235)人 令和4年 349(277)人
妊娠8~9か月マタニティ訪問 令和4年 43(6)人
母子保健推進員による継続訪問(延べ) 令和2年 56人 令和3年 128人 令和4年 222人 

目標を達成した 今後も継続する

今後の課題

 今後も、母子保健推進員の新たな人材の確保と、質の向上は手を休めることなく継続していくことと、乳幼児健診や教室、訪問のそれぞれの強みを上手く組み合わせ、個別性に寄り添った切れ目ない支援を継続していきたい。それを支える保健師の業務体制も維持していくことが重要である。また、今後は3歳6か月児健診以降の切れ目ない子育て支援を、他部署と連携しどのように展開していくかが大きな課題である。

取組についてのWEBサイトURL

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最終更新日:2023-08-16 08:03:36