取組情報

「おやこ保健室」の開催による鉄摂取の啓発及びこども貧血共同研究の実施

取組課題

切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策 ▼

【妊娠期~乳幼児期】切れ目ない支援 ▼

・児の健康づくりについて

朝食を欠食する子どもの割合

その他

実施時期

2016/6/11 ~ 未定

通算期間

上記期間内での実施状況

全国でおやこ保健室の開催(2021~2022年は全国10ヶ所、約800組2000人の母子が参加)

取組の連携先

地方公共団体 民間団体 研究機関 他の企業

取組の対象

新生児 乳児 幼児 学童 妊産婦 父親 母親 家族 保健師 栄養士 助産師

取組の概要

〇背景
近年、日本では母親となる世代(20~40代)の痩せ体形の増加、カロリー摂取量の大幅な不足、貯蔵鉄不足である「隠れ貧血」が約1,000万人、血中ビタミンD濃度の不足等、次世代への影響が危ぶまれる状況となっています。また、日本女性の鉄欠乏性貧血は5人に1人と多く、妊娠中は52%~88%もの妊婦に貧血がみられます。妊娠中に貧血の状態であると、早産、低出生体重児、分娩時の出血多量リスク、周産期死亡リスクが高くなり、産後1ヶ月の産褥期に貧血があると、産後うつリスクが高まることも明らかになっています。お腹の中の赤ちゃんについても、妊娠後期に母親から鉄分をもらうため、早産や母親が貧血の場合は十分鉄分をもらうことができず、生まれたときから貧血のリスクが高くなります。出生後も、母親からもらった鉄分でやりくりできるのは生後6ヶ月間ほどで、それ以降、赤ちゃんの貧血のリスクはぐっと高まります。(画像1)出生体重や出生週が問題なくとも、その後の離乳食の食べ具合や鉄分の量により、貧血リスクは高まり続けてしまいます。乳幼児~学童期の貧血及び鉄欠乏は、運動機能・認知機能・精神活動といった神経系の発育に長期にわたり影響を及ぼすことが明らかになっていますが、私たちの調査において約4割もの幼児(2歳~5歳)が貧血のリスクが高いことが分かりました。胎内にいる時から2歳になるまでの「最初の1,000日」の研究では、この期間の栄養状態が将来の生活習慣病リスクだけでなく、生涯所得にまで影響することが明らかとなっていることからも、早期発見が重要であり、子どもの貧血の実態の把握及び対策が急務となっています。

〇目的、対象者、方法、成果
私たちが行った働く女性3,000名を対象とした調査により、女性の社会進出が朝食欠食につながり、鉄欠乏リスクを高めてしまうことが明らかとなりました。次世代の発育に影響しかねない現状に対し、早期に対策を講じる必要があると考え、妊娠中から産後にかけての母子の健やかな発育発達、ボディケアをサポートし、母親のヘルスリテラシーの向上につながる機会を提供することを目的とした「おやこ保健室」を全国にて開催してきました。2021年は、東京(4回)、横浜、愛知、大阪にて「おやこヘモグロビン測定会」として開催し、さらに2022年は、乳幼児睡眠コンサルタントとも連携し、「おやこ保健室&ねんねフェス」として内容を充実し7月~8月に東京、大阪、福岡にて開催しました。身長・体重・足のサイズの測定、家族で受けられるヘモグロビン測定、骨密度チェック、ラブテリカウンセラーによる「ごはんカウンセリング」、乳幼児睡眠コンサルタントによる「ねんねカウンセリング」等を実施しました。ヘモグロビン測定は、通常は採血が必要となり赤ちゃんへの採血はハードルがありますが、アメリカのマシモ社開発の採血不要のヘモグロビン測定器を活用して行うことで痛みを伴わずに実施することが可能です。(画像2)
また、国の取組として母子が貧血チェックを受けられる社会の実現を目指し、まだ研究例の少ない日本人の小児における貧血の実態についてエビデンスを創出するため、2020年から聖路加国際大学と共同で「こども貧血共同研究」に取り組んできました。母体由来の鉄欠乏と母乳中の鉄分の減少が重なる1歳前後に「離乳期貧血」が起こりやすくなることから、1歳6か月までの乳児を対象としてヘモグロビン測定及び食事内容の調査を行い、本研究の成果を、日本初となる0~5歳までの子どもたちの貧血の実態に関する研究として、2022年8月に「アジア栄養士会議2022」にて発表しました。(画像3)
さらに、新たな展開として、自治体と連携した取組も始めています。熊本県玉名郡長洲町では、私たちが活用している採血不要の測定器を用いたヘモグロビン値測定を、全国で初めて乳幼児健診(7か月児、1歳6か月児、3歳児)に導入し、2022年5月から開始しました。この測定で得られるデータを元に、共同研究を行う予定となっています。

〇今後の展開
母子の健やかな発達発育のサポート、母親のヘルスリテラシー向上の機会提供等のための「おやこ保健室」については、より幅広い方にご参加いただけるよう商業施設や医療機関等も活用して、今後も全国で開催していきます。また、乳幼児の貧血については、発達の遅れを取り戻せる可能性がある、乳幼児期のできるだけ早い時期に介入を行うことが重要であることから、さらなる自治体の乳幼児健診へのヘモグロビン値測定の導入、保育園や幼稚園でのヘモグロビン値測定の実現を目指し、活動してまいります。

〇過去の応募回数
1回

〇補助金等の受給
文部科学省科学研究費補助金の一部を活用し、おやこ保健室で使用する体組成計の購入、測定機器のレンタル、食事調査の解析等を行いました

取組についてのWEBサイトURL

https://www.luvtelli.com/news/news_20220612

コラボ事業者募集中

コラボ実績あり

最終更新日:2022-08-23 14:14:58