取組情報

秋田県に根ざした産官学連携プレコンセプションケア周知活動

取組課題

切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策 ▼

不妊に悩む方への支援 ▼

[その他]:プレコンセプションケア周知活動

学童期・思春期から成人期に向けた保健対策 ▼

思春期保健対策 ▼

十代の人工妊娠中絶率

十代の性感染症罹患率

十代の喫煙率

十代の飲酒率

食育に関する取り組み ▼

[その他]:プレコンセプションケアとしての食事指導

地域保健福祉と学校保健、医療機関、関係団体等の連携強化 ▼

地域と学校が連携した健康等に関する講習会の開催状況

健康日本21(第2次)に含まれる母子保健に関するテーマ ▼

社会生活を営むために必要な機能の維持及び向上 ▼

全出生数中の低出生体重児の割合の減少

肥満傾向にある子どもの割合の減少

栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善 ▼

主食・主菜・副菜を組み合わせた食事が1日2回以上の日がほぼ毎日の者の割合の増加

野菜と果物の摂取量の増加

妊娠中の飲酒をなくす

妊娠中の喫煙をなくす

受動喫煙(家庭・職場・飲食店・行政機関・医療機関)の機会を有する者の割合の減少

過去1年間に歯科検診を受診した者の割合の増加

[その他]:プレコンセプションケア

実施時期

2021/4/1 ~ 未定

通算期間

上記期間内での実施状況

セミナー:教育機関3校(計80人)、一般向け3回(参加人数は把握できない)。マスメディア(新聞掲載2回、ニュース2回、ラジオ1回)。産婦人科オンライン無料相談:相談者は2023年8月時点で計45人。

取組の連携先

地方公共団体 教育機関 民間団体

取組の対象

思春期 妊産婦 父親 母親 家族 社員 助産師 医師 教員 養護教諭

取組の概要

【背景・課題】 現在、我が国、特に秋田県において急激に進む少子化は大きな問題となっている。その原因は様々議論されているが、①女性の社会進出という社会の前進に、女性の健康支援が追いついていないこと、②ライフプラン設計と関連付けた性教育がほとんど行われていないことも、大きな要因であると考えられる。このため最近では、国等でもプレコンセプションケア(プレコン)の重要性を認識し、成育基本法をはじめプレコンの普及が促され、医療者からも様々な発信がなされている。しかし、行政を中心とした取組は、病院等でのHP掲載やパンフレット配布等にとどまり、一般社会でのプレコンの認知度は上がっておらず、中でもプレコンのメインターゲットとなる若年層に効果的に情報が伝わっているとは言い難い状況にある。
【本研究の内容】申請者は臨床産婦人科医として日々患者に接する中で、プレコンはすべての年齢の女性に必要だが、ライフステージ毎に求められる情報が全く異なることを強く感じていた。
そこで、県内NPO法人フォレシアや秋田公立美術大学等、医療の枠組みを超えた様々な機関と連携し、各ライフステージで異なるターゲット像を想定、それぞれに最適な媒介・機会を活用した効果的なプレコン普及手法を研究した。
具体的には、①学生、②働く女性、④幅広い年代に対して以下の活動を行った(図1)。
①学生(10代後半~20代前半)
専門学校での出張講義(ライフプランニングのための性教育)を行った。講義後の行動変容として35%が病院受診、63%がライフスタイルを改善すると答え、知識を持つことで10代後半から20代と若い世代であっても受診も含めた行動変容に繋がることが明らかになった。講義後のアンケート結果からは、もっと早く知りたかったという声も多く聞かれた。
②働く女性(20代~30代女性)
県内企業で働く女性社員51人に対し、職域健診の際に同時にプレコンに関連する項目を検査し、結果をオンラインカウンセリングにより伝える「プレコン健診」を行った(図2)。
その結果、周産期合併症に強く関連する痩せが1割、肥満が2割を占め、婦人科検診の未受診、月経異常を抱える方が多いこと、貧血や栄養素不足(鉄分、ビタミンD、葉酸)などが挙げられた。介入後のアンケートでは、満足度は高く、知識を得ることで自ら行動変容が促されていることが明らかになった。さらに、妊活を開始する時期を早めたいとの声が多かった。
③産後・育児中の母親(30代~40代:病院、子育てサークル等)
今年度の秋田県産学官連携チャレンジ促進事業に採択され、子育て中の女性が負担なく自らの健康管理を行うことができるよう、研究を開始している。長期的には母親たちがプレコンを実践することで、その子ども達のプレコンの実践につながると期待される。
④すべての年代の男女(10代~80代:インターネット、マスコミ)
産婦人科への受診はハードルが高く、受診の遅れにより疾患進行や不妊等に繋がる場合もある。そこで申請者は、市民が気軽に相談できる窓口として産婦人科無料オンライン相談(https://forms.gle/CiWHssNjfRtsosgFA)を開設した(図3,R2.2~)。これまでに10代~80代まで、不妊や月経について幅広い相談が寄せられており、産婦人科の潜在的なニーズの高さが裏付けられた。また、プレコンの正しい知識啓発のため、webサイト「あきたでプレコン 現代女性の必修科目」(https://akita-precon-care.com/)を開設した(R5.2~)。さらに、これらの活動は、NHK「ニュースこまち」や「おはよう日本」をはじめテレビ、新聞、ラジオ等の多数のマスメディアで取り上げられた。
以上の研究から、(a)幅広い世代においてプレコンの潜在的ニーズがあること、(b)各ライフステージに対応したプレコン啓発活動により、特に若年女性の意識変容・行動変容に繋がる可能性があることが明らかとなった。
【今後の展開】
本研究は、自らの健康課題に気づきを持たせ、さらに行動変容につなげていくことを目的としている。上述の通り、特に女性は一生を通じて抱える課題が大きく変化する(思春期〜性成熟期、就職、結婚、妊活、育児中、更年期、閉経)。それぞれのステージに寄り添い、秋田の女性の健康向上を目指す。さらに、当事者だけではなく、月経痛で保健室で休む女子生徒に婦人科受診を勧める教師や、病院へ連れていく保護者、働く女性が病院受診のために休みやすい職場環境、そして社会全体の認識の改革が欠かせない。秋田県内のあらゆる層に対してあらゆるアプローチで周知を薦め、秋田県が「すべての人が女性の健康について正しい知識を持ち、女性の健康を支援する社会」となることを目指している。
・公的な補助金
秋田県技術イノベーション創出・活用促進事業産学官連携ブースター事業「不妊予防と女性活躍推進を目指した新しい職域健診実証研究事業」研究分担者2022年6月〜2023年3月
秋田県技術イノベーション創出・活用促進事業産学官連携チャレンジ促進事業「子育て中の女性のヘルスケア向上を目的とした地域情報ネットワークの構築」研究代表者2023年6月〜2024年3月
・「健康寿命をのばそう!アワード(母子保健分野)」における応募回数・受賞歴 なし

取組についてのWEBサイトURL

https://akita-precon-care.com/

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最終更新日:2023-08-16 05:13:16