取組情報

大府市子どもの近視予防プロジェクト

取組課題

学童期・思春期から成人期に向けた保健対策 ▼

[その他]:近視予防

取組の対象

幼児 学童 父親 母親

取組の背景

世界的に近視人口が増加し、WHOの予想では2050年には世界人口の40%が近視になると言われている。日本においても、近業作業時間の増加や外遊び時間の減少など、生活習慣の変化により近視のリスクが上がっており、この30年で裸眼視力0.3未満の小学生の割合が約3倍に増加するなど、子どもの近視が進んでいる。大府市は、裸眼視力1.0以上の子どもの割合が全国より5ポイント程度低く、全国と比較して近視の子どもが多い。
近視になるのが早いほど強度近視になる確率が上がり、強度近視は失明につながる多くの眼疾患になるリスクが上がると報告されている。
そこで、国立大学法人東海国立大学機構名古屋大学大学院医学系研究科眼科学・感覚器障害制御教室、ロート製薬株式会社、株式会社スギ薬局とともに「子どもの近視予防プロジェクト」を立ち上げ、子どもたちの「生涯見える」を守るための産学官連携による取組を開始した。

提案者

職員・社員

取組のねらい・目標

近視の多くは、「眼軸長(目の奥行きの長さ)」が伸びすぎて、網膜にピントが合わなくなる状態であり、現状では一度伸びた眼軸長を元に戻すことは難しい。従って、眼軸長が伸びる前の低年齢のうちから対策を行うことが効果的である。
しかし、多くの子どもは近視が進行して裸眼視力低下を指摘されるまで眼科を受診する機会に乏しく、近視の進行抑制に関する正しい知識を得る機会が少ない。
近年、多数の研究報告によって、屋外活動時間を確保することの重要性をはじめ、近業作業時の適切な休憩や視距離の確保が近視の進行抑制に有効であることが明らかになっている。
本プロジェクトでは、眼軸長が伸びやすく、近業作業時間が増える小学校低学年とその保護者をメインターゲットに、幼児期から小学校高学年まで幅広く啓発や取組支援を実施し、子供と保護者の両者が近視予防について正しく理解し、楽しく取り組む中で目に優しい生活習慣を定着させることを目指した。

住民が健康に関する知識、技術を身につけ、動機を高める 住民が健康のために行動できる機会や環境を提供する 住民が健康のために、より積極的な行動を継続できるように支援する

数値目標あり

取組内容

令和4年度は、小学1~3年生とその保護者100組を募り、8か月間の取組支援を実施した。【図表1 測定会の様子と取組シート・公式LINE】
6月の事業説明会・測定会では、ロート製薬社員によるセミナーや名古屋大学による専門的な眼科測定、眼科専門医による問診・相談を実施し、取組シートを配布した。
取組シートでは、目のために心がけたい3か条として「1日2時間外に出よう」「20-30分に1回は目を休めよう」「ぐっすりよく眠ろう」を設定し、できた日・項目にシールを貼り、月末に親子で振り返るという取組を8か月間伴走支援した。
シートを市役所に提出した方に連携先企業提供のプレゼントを用意することで、定期的なコミュニケーション手段を確保し、効果検証や励まし・アドバイス、質問・意見の聴取を実施した。
また、参加者と公式LINEでつながり、ロート製薬、スギ薬局、名古屋大学、市の4者から、イベントや目に関する情報、クイズ等を定期的に計36回配信した。
8か月後には再度測定会を実施し、事業の振り返りと、取組の継続につながるような意識づけを行った。

また、より広く啓発を行うため、デジタル機器との付き合い方に関するミニセミナーや、眼科専門医による講演会を開催したほか、市内全戸配布の「広報おおぶ」への特集記事掲載、市内年長児から小6への啓発リーフレット配布を実施した。また、学校保健会への講師派遣や養護教諭部会への情報提供なども実施した。【図表2 講演会とミニセミナーの様子】

令和5年度も、引き続き産学の協力の下事業を展開している。
前年度の取組が一定の評価を得たことを踏まえつつ、本プロジェクトの成果指標である「小学生の裸眼視力A判定全国平均以上」達成に向け、より広く啓発する必要があるとして、市内全小学1年生(9校30クラス)への出前講座を実施した。
外遊びの大切さを伝え、スマホ、ゲームや読み書きなどの近業作業時に気を付けることを実践的に学ぶ機会を提供すると同時に、夏休み期間中に活用できる取組シートを配布し、受講後の近視予防の取り組みを支援した。【図表3 出前講座の様子と取組シート】

昨年度好評だった測定会については、新たにロート製薬と名古屋大学の学術研究に協力する形で、小学5~6年生に向けた測定会を実施し、近視に関する新たな知見の発見に寄与するとともに、市内小学生に普段は測定できない専門的な眼科測定を受け、自分の目について知る機会を創出し、目の大切さを啓発した。

その他、市内年長児へのリーフレット配布や啓発イベントも、今年度も引き続き実施する。

なお、本件での「健康寿命をのばそう!アワード(母子保健分野)」応募歴はない。

実施時期

2022/4/5 ~ 未定

通算期間

上記期間内での実施状況

【R4】取組支援:親子100組、ミニセミナー:92名、講演会:79名、リーフレット配布:約7,000名 【R5】出前講座:9校30クラス985名、測定会:168名、リーフレット配布:約1,000名

取組内容(補足選択)

個別支援や集団支援のツール開発 情報システムの構築 調査・研究

協力機関

保育園 幼稚園 学校 教育委員会 大学・研究機関 病院 診療所 企業

住民参画状況

なし

従事者内訳

保健師 管理栄養士・栄養士 医師 事務職員 社員 その他

補助金・助成金

なし

取組の評価

プロジェクトの成果指標として、令和10年度に小学生の裸眼視力A判定(※)全国平均以上を目指す。(プロジェクト立ち上げ時(令和3年度)参考:【男子】全国65.1%、大府市59.7% 【女子】全国59.2%、大府市53.0%) ※視力矯正者を除く

令和4年度の取組の評価として、100組に対して実施した8か月間の取組支援では、約8割の方に継続して取り組んでいただくことができた。事業終了時に保護者に実施したアンケートでは、近視予防のために必要なことについて、保護者は全員「理解できた」と回答し、「子どもも理解できた」という回答も9割を超えた。98.6%の方が「生活習慣を変えようと取り組んでみた」と回答し、結果、68.1%の方が「近視を予防するための生活習慣が定着した」と回答した。楽しく取り組めた方、親子で一緒に取り組めた方も9割を超え、回答者全員が「プロジェクトに参加してよかった」「これからも目を大切にしようと思う」と回答した。
子どもと保護者の両方が近視予防についての正しい知識を得、楽しく取り組む中で目に優しい生活習慣を定着させることを目指して実施した事業だが、一定の成果が得られたと考えられる。
令和5年度には、教育委員会の連携・協力の下、市内全校での出前講座で広く啓発と取組支援を実施できる体制を整えることができた。この取組を継続しつつ、子どもたちの「生涯見える」を守るための取組や環境整備に引き続き取り組んでいきたい。

数値目標を評価した 今後も継続する

今後の課題

地域の医療機関との連携を強化し、身近な地域で相談できる体制を整えること
学校や幼児教育保育施設との連携をより強化し、学校や園での生活の中でも目に優しい生活習慣につながる活動を取り入れてもらうこと

取組についてのWEBサイトURL

https://www.city.obu.aichi.jp/kenko/kenkozukuri/1023081/1023082/index.html

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最終更新日:2024-07-22 14:23:54