取組情報

ひらつかはぐくみ葉酸プロジェクト

取組課題

切れ目ない妊産婦・乳幼児への保健対策 ▼

【妊娠期】母体の健康・精神的安定/胎児の成長 ▼

・母体の健康について

[その他]:葉酸摂取率

健康日本21(第2次)に含まれる母子保健に関するテーマ ▼

栄養・食生活、身体活動・運動、休養、飲酒、喫煙及び歯・口腔の健康に関する生活習慣及び社会環境の改善 ▼

野菜と果物の摂取量の増加

取組の対象

妊産婦 関係者・関係機関

取組の背景

 葉酸は、水溶性ビタミンB群の一種で、正常な細胞分裂に関与する必須栄養素です。妊娠前から合成葉酸を摂取することで、神経管閉鎖障害を予防することは広く知られており、米国ではシリアル類への添加、中国では妊婦に処方されています。日本では母子健康手帳に、食事に加えてサプリなどで付加することの必要性が記載されています。
 一方、国内での二分脊椎症の発生頻度は、他国に反して増加傾向にあり、直近の国民健康栄養調査では、若い女性の葉酸摂取量は所要量を満たしておらず、長期的影響が懸念されます。
 本市では、ネウボラにおける母子健康手帳交付時に全数面接することで、食生活に問題のある妊婦が多いことを把握しました。また、神経管閉鎖障害は出生1万に対して5~6人程度と言われますが、短期間に複数の二分脊椎症が発生したことから、すでに市内での若者世代における葉酸不足の蔓延化・遷延化の危機感を抱くに至り、プロジェクトを立ち上げ、地域ぐるみの葉酸ケアをスタートさせました。

提案者

母子保健担当者

取組のねらい・目標

妊娠前から妊娠中、産後にかけての葉酸サプリ摂取率を高め、神経管閉鎖障害の予防、低出生体重児・妊娠合併症・産後うつ等のリスク低減をはかります。
数値目標(葉酸サプリ摂取率):2028年までに妊娠前からの摂取率30%、妊娠前から妊娠期間中の摂取率90%

住民が健康に関する知識、技術を身につけ、動機を高める 住民が健康のために行動できる機会や環境を提供する 住民が健康のために、より積極的な行動を継続できるように支援する

数値目標あり

取組内容

葉酸サプリ摂取率調査、ネウボラでの栄養指導、葉酸が豊富な地場産品の推奨、啓発(チラシ・市ホームページ)を取り組みの柱とし、妊娠前からの葉酸サプリの摂取率向上を目指します。
【写真1】プロジェクトの内容
【写真2】ネウボラで使用している葉酸が豊富な食品のフードモデル
【写真3】妊婦に配布している葉酸サプリとチラシ

「公的(官公庁)な補助金等の支給」及び「同取組についての過去の応募」はありません。

実施時期

2018/10/1 ~ 未定

通算期間

上記期間内での実施状況

葉酸サプリ摂取率調査(2回)、妊婦全員に対し葉酸サプリ1か月分を教材として配布(写真)、市ホームページ・チラシ・外国人向けチラシの作成(5言語)、講演会、市内産科施設との情報交換など。

取組内容(補足選択)

相談機能の強化 人材育成の強化(研修等) 調査・研究 その他

協力機関

保健センター・保健所 病院 診療所 企業 専門団体・職能団体 その他

住民参画状況

なし

従事者内訳

保健師 管理栄養士・栄養士 助産師

補助金・助成金

なし

取組の評価

葉酸サプリの摂取率調査結果は次のとおりです。
1)調査項目:産婦に対する妊娠前から妊娠中の葉酸サプリ摂取状況
2)調査期間と調査人数
(1)第1回目:H30(2018)年8月からR元(2019)年7月までに乳児全戸訪問を実施した産婦(n=1,053)
(2)第2回目:R2(2020)年度に出産した産婦(n=1,509)
3)結果
(1)妊娠前からの摂取率 第1回目:26.7%、第2回目:24.2%
(2)妊娠判明後からの摂取率 第1回目:48.3%、第2回目:56.0%
(妊娠前から妊娠期間中の摂取率 第1回目:75%、第2回目:80.2%)
(3)摂取なし 第1回目:25%、第2回目:19.8%

 本市の葉酸プロジェクトはH30(2018)年10月から開始し、当初は調査と啓発が中心でした。ところが、地元のプロサッカー選手からのサプリ寄付をきっかけに、R2(2020)年4月から母子健康手帳交付時に、全員に葉酸サプリ1か月分を配布できるようになりました。面接に当たるのは栄養士や保健師、助産師ですが、現物を直接手渡すことで、妊婦一人ひとりの葉酸に関する知識・意識・行動を把握し、認識・行動レベルや社会的に不利な度合いに応じ指導内容を強化しつつ、すべての妊婦がカバーされる葉酸ケアを実施することができました。
 また、市内産科施設と知識を共有することで、葉酸指導の内容が平準化され、産科外来でも葉酸指導がなされるようになりました。
 日本人以上に知識にばらつきがある外国人のためには、多言語に翻訳したチラシを作成し(かながわ国際交流財団モデル事業)、理解を促進する工夫を重ねています。
 一方、一時期市民課窓口にて、新婚女性に葉酸サプリを任意配布しましたが、残念ながら調査期間内における妊娠前からの摂取率の向上までには至りませんでした。
 なお、葉酸サプリの配布を開始してから、本市では二分脊椎症は発生していません。
 以上のことから、妊娠前からの摂取率を向上させることはかなり難しいものの、妊娠判明後は配布目的を明確にした上で葉酸サプリの現物を教材として配布し、配布後も妊婦の状況に合わせて確認・承認・指導することが非常に有効であると考えます。また、そのことを具体的に実施していくためには、関係機関(主管課、産科、薬剤師会、企業等)が事業目的を正確に理解し、適切な役割分担のもと、実行することが大切です。
【役割分担の内容】
主管課(健康課):プロジェクト進行管理、統計調査、関係者研修(知識の平準化)、市民への啓発
産科:妊婦健診・助産師外来で摂取状況の確認及び助言・指導
薬剤師会:サプリの販売、市民への啓発
企業:学術的支援、販売支援

 

数値目標を評価した 今後も継続する

今後の課題

1)結婚や妊娠を考える世代は転出入が多いため、特に母子保健に関する基本的なサービスや情報提供は、近隣自治体間で平準化することが必要です。一方、予算がかかるサービスの導入は各基礎自治体の判断に委ねられるため、基礎自治体間を調整するためには国・県の働きかけが大切です。
2)当課では妊娠を考える若い女性との接点が少なく、サプリの妊娠前摂取に関する有効な働きかけができていません。今後、成育基本計画に基づき、市役所内、学校、企業などと連携し、葉酸を含めたプレコンセプションケアの啓発を具体的に推進する必要があります。

取組についてのWEBサイトURL

http://www.city.hiratsuka.kanagawa.jp/kenko/page21_00019.html

コラボ事業者募集中

コラボ実績あり

最終更新日:2022-08-22 18:28:10